M&Aは一世一代の大勝負
原: |
AGS FASという組織を知っていただくために、まずは「経営理念」に立ち返りたいと思います。AGS FASは、2023年に株式会社AGSコンサルティングから分社し、設立されました。その経営理念は、「M&A・事業戦略支援をとおして日本企業の企業価値向上に貢献し、日本経済の発展に寄与することを約束します」というものだけど、設立から数年が経過したなかで、皆さんはどのように経営理念に日々向き合っていますか。 |

渡邉: |
目の前のクライアントがM&Aという、会社にとっての一世一代の勝負に出ている、もしくは重要な投資判断を行っていることは、毎回自身に言い聞かせています。クライアントの期待に応えて企業価値の向上に資するようなサービス、またクライアントに寄り添ったサービスができるように、というのは必ず意識はしていますね。FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)というと、デューデリジェンスとかバリュエーションなどの個別の領域にフォーカスしがちですが、AGS FASという組織はさまざまなサービスラインをそろえていて、様々な専門分野と特徴を持ったメンバーが集まっていますから、個別領域にとらわれずクライアントの痒いところに手が届くサービスを届けたいです、AGS FASは届けられると思います。それが結果として、企業価値向上に、ひいては日本経済の発展に寄与していくのではないでしょうか。 |
原: |
一世一代の勝負の局面で痒いところに手が届くサービスを提供していきたい、というのは、AGS FASが常々心掛けているところですよね。 |
藤川: |
日本経済という面でいうと、今の日本は明らかに経済規模に比べて会社の数が多いですよね。家族経営のような小さい会社も含めると400万社弱*1あり、スケールメリットを取れない、リソースが最適化できていない状況が常態化している。ここをいかに最適化していくか、リソースを統合していくか、つまりM&Aをどう進めていくかというのが、日本経済にとって喫緊の課題です。そこで、私たちがインフラになる必要があるだろう、と。実際に、大企業のM&Aであれば支援の機会が多い一方で、特に中堅企業が置いていかれる状況に課題が生じています。日本経済にとっての核となる中堅企業、そこで働いている方、その関係先まで含めて、インフラとしてAGS FASがご支援していければ、日本経済の回復や発展につながります。経営理念にも掲げているように、それこそが私たちのアイデンティティーだと考えています。
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日本経済の至上命題に立ち向かう
原: |
今の日本は、中小企業の割合が全体の99.7%*2を占めていて、東証スタンダードやグロースに上場している会社でも、時価総額はそこまで高くないんですよね。過去の成功体験に囚われているのか分からないけど、まだまだ合理化も効率化も進んでいない、そんな状況がずっと続いている。下手をすると「失われた40年」といわれる可能性も十分にあり得ます。こうした現状を踏まえると、「強い日本」を作るためには、会社をまとめ上げて明確なビジョンを持っているリーダーを作らなければならない。M&Aを繰り返して、日本を強くしていかなきゃならない。これは至上命題だと思うんですよ。そのなかで、私たちに与えられた役割が必ずあると思います。 |
三輪: |
今の日本企業の平均寿命って約34年*3なんだそうです。平均して34年ほどでなくなっていく会社をどう強くして、長く続けていくかということを考えると、いうまでもなく、M&Aという選択肢が非常に大事になってくるんですよね。マクロな面でみても、国内企業が総力を合わせて、日本経済を高みに押し上げていくためには、なくなりそうな技術を引き継ぎ、新しい技術を作り出していくプロセスが欠かせません。AGS FASなら、そうしたプロセスをM&Aを通して実現し、日本を助け、引っ張っていけます。それが、「M&A・組織再編を通して日本企業の企業価値向上に貢献し、日本経済の発展に寄与することをめざします」という。経営理念に込められた意味です。 |

渡邉: |
やはり、日本企業の課題として、合理化や効率化が進まず、会社本来の力が発揮できていないというところはありますよね。 |
三輪: |
まだまだ発展できる可能性がある、ともいえますよ。
*2 総務省「令和3年経済センサス・活動調査」 |
「AGS FASらしい」M&A支援の形
原: |
社会の要請として、M&Aが今後ますます活発になっていくなかで、AGS FASだからこそ提供できる価値が何かと考えたときに、私が思うのは、やはり「クライアントとの距離が近い」ことだと思うんですよ。AGSは昔から、いかにしてクライアントに「いいね」と言ってもらうかを、とても大事にしてきたじゃないですか。そうした距離感の近さであったり、クライアントにとって使い勝手がいいところであったり、「AGSの担当者は気持ちいい仕事をしてくれるよね」といわれるところであったり、そういうところが私たちの価値だと思います。もちろん、専門家集団としてFASの機能を強化して拡大していくのは、当然、重要です。だけど、そうした技能に加えて、私たちが培ってきた精神的なAGSらしさを、どれだけクライアントと共有できるかが、最後の差別化につながっていくんじゃないでしょうか。 |
藤川: |
おっしゃる通りだと思います。今後日本経済を押し上げるためにM&Aをどんどん進めていくべき、という話を多くの人がしますが、そういうときに「人の気持ち」が語られていない、と思うことが多いですよね。日本の会社って、目的を達成するための機能集団であると同時に、共同体やコミュニティー的な性質が非常に強い。それが、経営者や働いている人たちのアイデンティティーに密接につながっているので、会社を物のように扱われることに対して、物凄く拒否感を覚えます。そこを、私たちが汲み取って寄り添いながら進めていければ最高です。 |

渡邉: |
日本人らしさとか、AGSらしさみたいな、そういうエッセンスが、やっぱり響くのかもしれないですね。 |
三輪: |
M&Aの支援サービス自体が、ここ数年で急激に変わってきているのを感じます。私が入社した3~4年前の話をすると、例えばビジネスデューデリジェンスといえば、主にバリュエーション目的の事業計画上のリスクを洗い出すニーズが比較的多かったように感じます。その理由はM&Aというものをリスクの塊として捉え、「高値づかみをしたくない」というマインドがまだ一般的でした。それが、この3~4年で、どっちかというと「高値でも買うべき」とか「成長の機会はどこにあるのか」というマインドになっている。M&Aが会社を成長させる戦略の大事なキーとなるなかで、AGSはさまざまな要望に柔軟に応えられるようサービスをどんどん拡充させていますから、それを強みとして日本を成長させられることができるんじゃないでしょうか。 |
AGSグループのトップランナーに
三輪: |
AGS FASを含めて、AGSグループはどんどん人員を拡大していて、今は総勢765名(2025年5月時点)。そのうち、AGS FASは62名(同)です。私たちは、そのなかでどのような価値を発揮していくべきでしょうか。 |

原: |
自分がAGSコンサルティングに入社した約20年前は、全体で50人くらいだったんですよ。そこから10倍以上に増えて、特にここ数年は毎年100人ずつ増えている。最近出席した幹部ミーティングで、「10年後のAGSを想像する」というテーマがあったんですが、今の増員ペースをもとにシミュレーションしてみたら、10年後には3,000人弱になっていました。もちろん、実際にはシミュレーションどおりにはいかないでしょうが…。個人的に、この急成長で危惧するのは、それぞれの組織が孤立したり、分断したりする恐れですよね。分断されてしまうと、グループ全体としては良い経営資源を多く持っているにもかかわらず、力を十分に発揮できなくなってしまう。だからこそAGS FASが、M&Aがこれからどんどん活発化するなかで、グループ全体をつなぐ活躍をして、求心力を持った存在にならなければいけない。グループにおけるトップランナーとしての自負や自覚、プライドを持ってやっていかなければいけないと思います。その上で、具体的にどんな影響を、自分たちが及ぼせるかを考えたいですね。 |
藤川: |
やっぱり、日本全体でM&Aが喫緊の課題であるという部分だと思いますよ。今のAGSは、全国に支店網を張り巡らせて面の拡大を図っていると同時に、自身の規模拡大に伴って、クライアントの規模も大きくなってきているという、2つの性質があります。全国のどこの支店でも、どの事業部でも、M&Aという課題と向き合わざるを得ません。しかし、実際には日々の業務があり、それぞれの現場がM&Aにワンストップで対応するのは難しい。しかも、経済の高度化が進み、ありがたいことに非常に難易度の高い案件をご依頼いただくことも増えています。そこで、M&Aに特化して業務レベルを上げているAGS FASが、全国へM&Aのノウハウを蓄積しながら、AGSグループ全体を引っ張るポジションとして、求められているのではないでしょうか。 |

「リスク」から「成長」の時代へ
三輪: |
この頃の我々のM&A支援サービスは、「リスクをアドバイスしましょう」から「成長をアドバイスしましょう」というトレンドになっています。そうなると、当然、「私たちがアドバイスすべきはM&Aだけに限った話じゃないよね?」という話になります。AGSグループでは、事業承継、事業再生、IPO、税務申告といった様々なサービスラインを切り口に、会社を成長させたいというニーズに対してのサービスを拡大しようとしていますよね。なので、我々AGS FASのサービスは、AGSグループ内の他のところでも、絶対に活用できます。そうしてシナジーをより発揮できるようになれば、自然とAGS FASのサービスがAGS全体をリードしていく流れになっていくはずです。 |
渡邉: |
M&Aが社会的要請として求められるなかで、AGS FASがAGSグループの中でM&A支援サービスにおいて最も付加価値を提供できる集団であるべきだと思います。ただ、一方で、AGS FASは現状、60人程度の組織です。それに対して、AGSグループとして全国でクライアントに対面している人たちが数百人最前線にいるわけなので、AGS FASがグループのハブになってクライアントにより高付加価値なM&A支援サービスを提供して、社会的課題であるM&Aのより一層の発展に寄与していくことが必要です。やっぱり、どうしても60人だけでは「日本経済の発展に寄与する」っていう目標は達成できません。だからこそ、AGS FASはAGSグループ約800人の中心的存在として全体にいい影響を与える、そんな存在になるべきかな、と思います。 |

原: |
皆さんの話を聞いていて思うのは、FASサービスという業務に限定せず、広い意味で「クライアントの成長に貢献するサービス」という括りで考えたほうが、よりシンプルですね。 |
藤川: |
どうしても、FASコンサルタントという言葉は、「M&Aの手続き上のリスクを低減する」という発想に縛られがちですから(笑)。 |
渡邉: |
これまでの話の流れからすると、それより「積極的に成長を支援する」という考えを持つべきなんでしょうね。 |
三輪: |
「成長を支援する」という視点に立つと、先ほどおっしゃっていたように、AGSグループは全国にタッチポイントがありますからね。もう1つ、私たちの仕事で何が財産なのかと考えたとき、やはり最後は「人」ですよね。グループが人員拡大しているのも、頭を使う人が増えれば増えるほど、よりAGSが社会に貢献できるという考えによるものです。マンパワーがないと、社会のニーズに応えきれませんから。それを考えると、先ほどおっしゃっていた「10年後に3,000人」というのも、むしろ少ないと思いますよ。優秀な人を多く採用して育てる、というフェーズに、AGSも来ているのだと思います。 |
原: |
「AGS3,000人」の礎を、今、作っておく必要がありますね。 |
リーダーに必要な資質は?
原: |
せっかく事業部長が集まっていることだし、それぞれが思う「理想のリーダー」がどういうものか、お聞きしてもいいですか。 |
藤川: |
この4人、それぞれ全然キャラが違うからなあ(笑)。 |
渡邉: |
面白い話が聞けそうですね。ここは三輪さんから語ってもらいましょうか(笑)。 |
三輪: |
そうですね。私が思うリーダーは「将来のビジョンを提示してくれる存在」ですね。会社、日本、世界を将来こうしたいというビジョンを明確にイメージできていて、それに向けて行動できている人。それは、もしかしたら亀の歩みのような道のりかもしれません。だとしても、ビジョンを言語化して伝えて、自身でも実行している人が、良いリーダーだと思っていますし、自分もそうありたいですね。常に視座を高く持って、ビジョンがメンバーにしっかりと伝わっていて、人々を動かせるのが理想のリーダーかな。逆にいうと、目の前の仕事に翻弄されて視野が狭くなっているのは、リーダーのあるべき姿ではないと思います。 |

渡邉: |
組織の成長を考えると、ビジョンを提示して、メンバーをそこまで引っ張っていくリーダーシップは絶対に必要ですよね。 |
原: |
自分は、この会社に入って、メンバーとしての立場と、事業部長としての立場をどちらも経験しているのですが、その経験から思うのは、リーダーは、結局のところ下が付いてきてくれるかどうかなのかな、と。「この人のためだったら、俺、頑張りますよ」とか「この人に下駄預けます、神輿担ぎます」と言ってくれるメンバーが何人いるんだっていう話です。そのためには、先ほど三輪さんがおっしゃったように、ビジョンを持っているかというのも含めて、人間的に正しいのかどうかが大事。悪かったら「ごめんなさい」と言えるか、部下に感謝できるか、そういう細かいことの積み重ねが信頼関係を育てて、良いチームになる。一番大事なのは、人として正しいことをしようとしているのか。今ぐるっと回って、そう思っています。 |
藤川: |
自分は、「人を信頼しているか」っていうのが大事だと思います。自分が信頼していない相手を引っ張ることはできないので…。人に関わることをいとわず、人に対してあきらめず、信頼する。人に期待して、それを諦めないで、かつ関わっていきながら「俺もやるけど、お前も一緒にやろう」と言える。それって、信頼がないとできないでしょう。その上で、リーダーとして示すビジョンが魅力的であれば、人は付いてきますよね。まあ、私自身はそこが苦手なんですけど(笑)。不確定な環境になればなるほど、「行ってこい!」と号令をかけたところでメンバーは動きませんから、そうした状況で、ゴールを指し示して引っ張ってくれるリーダーがいれば、理想的なんじゃないかな。 |
渡邉: |
人を動かすうえで難しいのは、実際には保守的な人が多いというところかもしれませんね。ビジョンを提示しても、なかなか付いてこない人が正直多い。なので私は、まずメンバーに信頼されることを優先しています。リーダーとして認められないことには、人を動かすのもままなりません。自分は裏方に徹して、メンバーみんなに最前線で輝いてもらいたいと考えています。また、ある程度自分の能力が高くないと、メンバーに信頼してもらえません。自分自身も当然に自己研鑽して、その上で、メンバーにも適度なプレッシャーを与えます。すべてにおいて自分自身が正しくいられないかもしれませんが、少なくとも、そういう態度を見せるのが必要かなと思っています。 |

原: |
この業界特有なのかもしれませんが、「知識も含めて、俺より上だな」と思わせないと、付いてこないところがあるよね(笑)。 |
三輪: |
税理士や公認会計士の資格者として、難関試験に合格したという成功体験を持って入社してくるから、それは、「あるある」かもですね(笑)。 |

成長できる環境がここにある
原: |
最後に、AGS FASへの入社を検討している方へ、私たちからのメッセージを伝えたいと思います。 |
三輪: |
「環境が人を作る」という言葉がありますが、それはM&A業界においても同様です。例えば、上場企業の経営者と何百億円に上るディールの話をしなければならない、という環境に置かれたら、必死で勉強しますよね。それって、家で「M&Aプロフェッショナルの心得」みたいな本を読んでいるだけの人とは、全く異なる成長曲線を描くんです。優秀な人、つまりこれを読んでくれているあなたに入社してもらうために私たちがやるべきことは、成長する環境を用意することです。優秀な人が他ではできないような痺れる仕事を用意してあげたい。そのために、いろいろ考えています。ですので、痺れるような環境を求めている人は、ぜひ飛び込んできてほしいですね。そして、飛び込んだ後は、私たちと一緒に、そういう環境を作ってほしいです。環境が人を作り、人が環境を作る、そうした流れを循環させて、AGS FASのチカラで日本をさらに成長させていきましょう。 |
原: |
面接でよく聞かれるのが、「AGS FASと、他の会社の違いは何ですか」という質問ですが、それに対しては、「あなた一人で、あらゆる視点から案件を見られるようになれる」と答えています。AGS FASは、業務の縦割りをしていません。M&Aに関わるあらゆる業務に関与できます。チャレンジしたいと言ってくれれば、いくらでも環境を用意します。そのあたりの良さは、今後、AGS FASがさらに大きくなったとしても、残していきたいと考えています。もう1つは、クライアントとの距離が近いということ。クライアントである経営者のすぐ横で、相談相手になれます。そういう仕事がしたいのであれば、ぜひうちに来てください。 |
藤川: |
自分自身のモチベーションの源泉が、何であっても構いません。知的好奇心でもいい、お客さんを助けて感謝されたいのでもいい、とにかく成長したいという理由でもいい。M&Aは、さまざまな知識とスキルがトータルで求められる「総合格闘技」です。それは、持っている武器は多いほうがいいということです。AGS FASは機能別に縦割りする体制を取っていません。機能別になっていると、クライアントに対して、「ここは私が見ますけど、ここはちょっとできません」と言わなくてはならない。AGS FASは、一人ひとりが総合格闘技で戦える環境を作っていますので、とことん経営者と対峙できます。そういう環境だからこそ、知的好奇心でも、感謝されたいであっても、成長してみたいであっても、すべての動機づけに対して、ニーズを満たせる環境を、用意できるんじゃないかと思います。 |

渡邉: |
単にFASという業界でM&Aサービスをやりたいだけであれば、デューデリジェンスなり、バリュエーションなり、スキームの検討だけやっていればいいと思います。そうではなく、「経営者の相談相手になれる存在になりたい」と思うなら、AGS FASが適しています。デューデリだけじゃない、バリュエーションだけじゃない、さまざまなことに興味を持ちながら、最終的にはサービスを届ける先の経営者に相談相手として認めてもらう。AGS FASは、そういう環境を提供できる組織です。多様な相談に乗れる引き出しを持っている、そういうプロフェッショナルになりたいという方は、私たちと一緒に働きましょう。 |