アルバイトで感じた会計の面白さ

会計分野に興味を持ったのは、大学時代です。レンタルDVDショップのアルバイトで商品の品出しをする際に、商品評価損とか棚卸減耗とか、そういった会計の仕組みが現実世界と結び付いているのを実感して、面白そうだと思いました。それで公認会計士を志し、大学4年生から勉強を始め、試験に合格するまで2年ほどかかりました。合格後は大手監査法人に入社し、上場会社監査、学校法人監査、会社法に基づく会社法監査、海外子会社を対象としたリファーラル監査など、様々な種類の監査業務を経験しました。ただ、働いていくうちに、すでに終わっているビジネスに対して問題がないかをチェックする監査の仕事が、保守的なものに思えてきたんです。そこで、もう少しビジネスの上流にある仕事をしたくなり、転職を決めました。

入社半年で「仕切り直し」

AGS FASとの出会いは、転職活動中にスカウトメールをいただいたのがきっかけです。なんとなくM&A領域は自分とは縁の遠い世界だという先入観があり、転職先として検討はしていなかったのですが、面談する中で、公認会計士を入り口として入っていくのも面白そうだと思ったんです。例えば、ビジネスデューデリジェンス(DD)は経験を積んだ戦略コンサルタントしかできない業務だと思っていたところを、会計のスキルをきっかけに関与していける可能性を示してもらえました。それで、AGS FASへの入社を決めました。ただ、やはり最初は大変でしたね。フロント(クライアントと直接関与する)メンバーとしてスタートしたのですが、自分の知識のなさを痛感させられて…。仕事が効率よく回せないので、量でカバーしようとして、今度は体力的にきつくなってしまった。それで、半年くらいで会社に「一度仕切り直して、しっかり基礎固めをさせてほしい」と申し出て、サポートスタッフになったんです。

やっと見つけた進むべき道

サポートスタッフは、フロントメンバーを様々な面で補助するポジションです。案件をリードする立場ではありませんが、様々な案件に関わり、フロントメンバーの作ったレポートをチェックするなど、相応の専門的な知識が求められます。サポートスタッフだった頃は、一つひとつの仕事に対して考える時間をしっかり取って、FAS業務を基礎から学びながら、空いた時間を読書などの自己学習に充てて、将来的に必要になるスキルを磨く、という日々を過ごしました。サポートスタッフとして多くの案件に関与できたので、FAS業務の工程の全体像を把握できるようになったのも大きかったです。ただ、いつか最前線に戻りたいという気持ちは持っていて、会社にもそれを伝え、結局、サポートスタッフを2年間やったところで、エキスパートというポジションで現場に戻りました。エキスパートは、専門性を持って案件に携わるという点でフロントメンバーと共通していますが、自分の強みに特化していくのが特徴ですね。

全ての経験が今の自分を形作っている

サポートスタッフから前線に戻るにあたって、自分の進むべき道は何だろうと考えました。その中で、最初のフロントメンバー時代からサポートスタッフ時代を含めて、財務DD、ビジネスDD、PMIなど、M&Aに関する業務に一通り触れられたことで、自分の興味やスキルに合う領域が分かってきたんです。私の場合、それがバリュエーションとモデリング業務でした。M&Aという取引の中でも、「価格」というのは最も重要な要素の一つですから、その重要な意思決定に影響を与えられるバリュエーションは、やり甲斐のある仕事です。バリュエーションといえば、サポートスタッフ時代には、社内で使うバリュエーション用のフォーマットの改修に携わりました。フロントメンバーなど、現場に関与する人たちから様々な要望を聞き取るのですが、バリュエーションという一つの領域に、これだけ多くの論点や考え方があるのか、と驚かされました。AGS FASとしてのポリシーに基づく統一されたフォーマットは作りつつも、「ただフォーマットに当てはめていくだけでは専門家とはいえない」というプロフェッショナルな部分を感じられたのも、サポートスタッフ時代の経験があるからです。フロントメンバー、サポートスタッフ、エキスパートというキャリアを歩み、それらの全ての経験が自分を形作っていると思います。

モデリング業務を軸にしていきたい

もう1つのモデリング業務は、事業計画を策定するにあたって、B/S、P/L、CFの財務三表を連動するように作っていく業務を指します。ビジネスDDのために作成することもありますし、ファンドがLBOでM&Aを実行する際に、返済スケジュールを立てた上で資金がどれだけ必要かをシミュレーションするためにモデリングが求められることもあります。クライアントが事業のビジョンを描くにあたって、モデルを使うことをイメージして、正確な情報をストレスなく利用できるようイメージしながら作業を進めていくところに、やり甲斐と楽しさを感じますね。財務三表を基に作業を進めていって、最後に貸借のズレがないモデルが完成すると「気持ちいい!」って思います。モデリング業務で関わる案件は、現在はそこまで多くはないのですが、将来的には自分のスキルの軸にしていきたいと考えています。

理想のワークライフバランスを実現する

私が女性ということもあって、ワークライフバランスが重要だという思いがあります。様々なライフイベントを想定すると、私生活との両立は欠かせません。その点、私が会社と話し合ってフロントメンバーからサポートスタッフへ、そこからエキスパートへとキャリアを描けたように、AGS FASは風通しの良い会社だと思います。それぞれのキャリアデザインや、ワークライフバランスについて話し合う機会があるのはありがたいですよね。それに、良い意味で女性も男性も関係なく扱ってもらえるので、「女性だから任せられない」みたいな雰囲気はまったくない。女性にとって、そういう意味の働きやすさがある会社です。AGS FASは、比較的新しい組織(前身のTS事業部から2023年4月に株式会社AGS FASとして独立)なので、様々な社内ルールを含めて、今いるメンバー全員で作り上げていこうという空気があります。私が、理想のワークライフバランスを実現するロールモデルになれるよう、頑張りたいですね。