リーマンショック後の「就職氷河期」に直撃

大学院を出てすぐに公認会計士試験に受かったのですが、リーマンショック直後の「就職氷河期」に直撃して監査法人に入れず、10人規模の会計事務所に入所したところからキャリアが始まりました。小さい事務所でしたが、手書きで帳簿を付けている焼肉屋さんの記帳代行から上場子会社の税務顧問、事業再編の会計・税務コンサル、弁護士事務所から依頼された民事再生や企業倒産の支援業務まで、横の広がりと縦の深さのある業務を、幅広くやらせていただき、「会計士や税理士が活躍できるフィールドって、こんなにたくさんあるんだ」と知ることができました。その後、中堅税理士法人を経て、3社目が今のAGS FASになります。

積み上げてきたキャリアを生かせる環境

転職にあたって、特にM&Aプロフェッショナルになりたいという希望は、最初はありませんでした。ただ、転職エージェントの方と話すうちに、会計や税、ファイナンスの知識が幅広く求められるM&Aプロフェッショナルこそ、今まで勉強してきたことや、「税務の経験が豊富な会計士」という自分が積み上げてきたキャリアを生かせる仕事だと思ったんです。実は1回目の転職時に、AGSグループの他の部門から内定を受けていました。そのタイミングでは色々な理由があって辞退したのですが、2回目の転職活動で改めて調べてみると、数年で事業規模も組織も急成長していて驚きました。私が最初に受けたころとは人数も全然違うし、社内体制も整備されていて、企業として魅力を感じたのもAGS FASを選んだ理由です。

1つの案件で100億円が動くダイナミズム

前職では、税務顧問先のクライアントとの関係性はすでに形成されていて、やることも大体決まっていました。いかに仲のいいクライアントと効率的にルーティンを進めて、プラスアルファで新しい提案をするかというスタンスです。金額もそこまでは大きくありません。一方、いま関わっているM&A業務は、スポットで依頼されて、一期一会のクライアントに価値を提供するという仕事なので、短期勝負で印象を残す必要があります。しかも、関わっている案件のディールサイズは数億円から、場合によっては数百億円を超えるお金が動きます。このダイナミックさが、前職との大きな違いです。そうした緊張感の中で、「よくやってくれた」とクライアントから評価いただけると、税務顧問とは違う喜びを感じます。

M&Aの根幹をなすプロセスを担っている

私が主に担当しているのは、財務デューデリジェンス(DD)とバリュエーションで、アサインされてから手離れするまで1ヵ月ほどの短期勝負です。会社も違う、金額も違う、スキームも違う各案件に対して、アサインされた瞬間にクライアントやM&A先のことを判断して、どのようなプロセスに載せてどのような作業をするかを一気に組み立てなければいけません。一つの会社を買うにあたっては価格を決めなければならず、価格を決めるにあたっては会社の数字の成り立ちを知る必要があります。リスクを洗い出し、価値を生み出す源泉がどこにあるのかを理解するにあたって、DDとバリュエーションは一番重要なプロセスだと思っています。M&Aにおいて根幹をなす業務だという意識を持って、自分の中で誇りを持ってやっています。

マネジメントのやりがいを感じた1年

今はマネージャーというポジションにいるので、自分の手を動かしながら、チームとして目標を達成するためにメンバーにどう動いてもらうか、どうアサインするか、成長してもらうためにどうフォローするか、ということもやっています。メンバーのことを理解して、適切なタイミングで適切な言葉を伝えて動いてもらうには、自分自身が動くのとは全然違う技術が必要で、難しいと思うこともよくあります。ただ、去年は、伸び悩んでいたメンバーに対して、「こういう取り組みをしたらどうか」とか、「疑似案件を作るからロールプレイをやらないか」とか、そういった声がけをしながら、メンバーのフォローを行いました。その結果、年の前半は全然うまくいかなかったのが、後半にそのメンバーの取り組みが劇的に変わったんです。それまでは、受け身で指示待ちになりがちな行動が目立ったのですが、自分から「こういうことをした方がいいですか?」と提案をしてくれるようになって…。私自身ももがきながらでしたが、きちんとアプローチをすれば人は変わるんだ、いい方向に花開いていくんだっていうのを目の当たりにして、マネジメントのやりがいや嬉しさを感じました。

クライアントを怒らせて、得られたこと

過去に一度、報告内容にご満足いただけずクライアントを怒らせてしまったことがあります。「明日までに内容を練り直して、もう一度報告してください」と言われてしまいまして…。会社に戻って、メンバーたちに「ご協力いただけませんか」とお願いして1日で再回答を用意していくと、内容に納得していただけて、「この内容が欲しかったんだよ!1日遅かったけどね(笑)」と言っていただけました。自分としては失敗した経験なんですけど、印象的だったのが、メンバーたちに「自分の力だけじゃ不足していて時間もないので、ご協力いただけませんか」とお願いしたら、皆が急遽集まってくれて、「ああだ、こうだ」って活発に議論に付き合ってくれたことでした。一人ひとりが専門家として独り立ちして業務を進めているスペシャリストたちが、いざとなったら結集して、「AGS FAS部隊」として力を発揮して、自分というメンバーを盛り立てて、送り出してくれた。メンバーたちの温かさだけでなく、チームの一体感も感じたし、組織としてのAGS FASの良さを感じました。

さらなるチャレンジができる環境にいる

今後は、財務DD、バリュエーション、税務DDだけでなく、もっと横断的に他のM&A業務に関われるようにしていきたいですね。AGS FASの強みとして、M&Aのプロセスだったら何でもできるっていうところがあるので、せっかくそんな環境にいるのだからチャレンジをしていきたい。さらに、マネージャーとしても、もっとメンバーが適切に動けるよう働きかけられる方法はないか、という部分も研鑽を積んでいきたい。他にも、M&A業界の全体の動きを見ながら、AGS FASとしてどうすべきか、そんなことにも気を配れるようになっていきたいです。

10年後、面白い仕事をしていたいですか?

一緒に仕事をしたいメンバー像は、自分のやるべきことや課題と向き合って、昨日より一個でもできることが増えるよう意識し、実際に積み上げられる人です。おそらく10年後も今と全く同じ仕事内容しかできなかったら、仕事は面白くなくなるし、正直飽きてくると思います。職位に関係なく、今日はこれができるようになった、明日はこれができるようになりたいと少しずつでも成長を意識する。日々やれることを増やして、自分自身が変化していくことで、良い仕事ができるようになり、仕事も面白くなっていく。そのような意識・意欲を持った人と一緒に仕事をしたいと思っています。「それ、トライしてみます」「こんな成果が得られました」「今回は上手くいかなかったけど、良い気付きが手に入りました。気付きを活かして再トライしてみます」このようなコミュニケーションをできる人が引き続き増えていけば、AGS FASという組織も、もっと伸びていけると思います。