
大学にいたころから税理士試験を受け、簿記論、財務諸表論、国税徴収法は合格していました。ただ、税理士のメイン業務である顧問業務よりは、どちらかというとM&Aに関わる仕事がしたかったため、就職先も、M&Aを業務ラインナップに入れていて一定以上の規模がある会計事務所や税理士法人を探していましたね。その中の1つがAGSコンサルティングでした。その頃のAGSの従業員規模はまだ80~90人くらいでしたが(2025年4月時点では760名)、業界の中ではすでに大きいほうでした。また、当時の大学院のゼミ生に、AGSに勤めている現職の方がいらっしゃって、そこから情報を聞けたことも大きかったと思います。会計系のゼミだったので、その業界志望の方も多くいたのですが、皆が口をそろえて「会計事務所は、長く勤めるような場所じゃない」と言っていて。そんな中で、AGSの方は10年以上勤めていらっしゃったので、「働きやすい良い事務所なんだな」というイメージがありました。

AGSに入社して配属されたのは、今のAGS FASの前身にあたるM&A関連の事業部でした。ただ、私が担当していたのは、どっちかというと税務顧問がメイン。M&A業務は、経験のない新人がいきなり対応するのは難しい領域で、いくつかの案件に関わらせてはもらえましたが、当時はうまくできなかったですね。4年くらい、税務顧問、金融機関への相談対応を担当しました。次に、事業承継の事業部に異動し、株価対策や相続対策、相続税申告などをメインにやり、その後、税務顧問を含む経営支援を総合的に提供するMS事業部に移り、さらに、入社して10年目の2018年に、今のAGS FASにあたる部署に異動しました。ちょうど社内のメンバーが大きく入れ替わったタイミングで、「組織再編に関与できる税理士が誰かいないか」といわれて、手を挙げたのが私だったんです。その後は、税務デューデリジェンスなど税務のパートを中心に、組織再編の相談や、クライアントの組織再編成の実行支援、たまにバリュエーションも担当させていただくというキャリアになります。本当にいろいろ経験を積んで、とうとうM&Aに戻ってきたという感じですね。
入社してからM&Aに関わるまで10年がかかりましたが、その期間はまったく無駄ではなかったと思います。例えば、証券会社を対象に、M&Aスキームの検討や、税務面の論点の相談に対応する業務は、入社数年目から今も続けています。同様に、金融機関への相談対応も続いています。多くのM&A案件についてご相談いただく中で、AGS FASが直接関与していなくても、最前線のスキームや、個別の論点、注意点に触れることが、私にとっての血肉になってきました。それらと自身の過去の経験を組み合わせることで、適切な助言や注意喚起ができると、これまでのキャリアが活きていると感じますね。社内的にも、M&Aという専門性の高い業務の中で、自分はさらにM&Aなどの組織再編の税務に強いという専門性を尖らせたスペシャリストです。税務に関する相談を受けることがあると、頼りにされているという充実感を覚えますし、「もっと自分がリードしていかないといけない」と奮い立ちます。

M&Aの面白さは、企業や事業という大きいモノを売買する現場に立ち会えるところです。企業にとって重要な意思決定ですので、大企業の役員クラスや、場合によっては社長と相対して話す機会も少なくありません。彼らに対して、プロフェッショナルとして専門性の高い価値を提供できるのは、大きなやりがいです。ただ、重要な意思決定だけに、間違えると何百億円クラスの大損害をクライアントに与える可能性もゼロではありませんから、プレッシャーはあります。最近関わった案件では、非常に金額への影響の大きい税務メリットがあるスキームを検討・提案しました。結局、様々な事情によって、そのスキームを実行する機会はなかったんですけど、規模の大きい、しかも税務的に高度なスキームに気づいて、「これが使えるか使えないかで数百億円変わってくる」と思いながら検討を詰めていくのは、非常にしびれる体験でしたね。そうした一つひとつの経験が、成長の糧になっていると思います。

AGS FASの特徴は、クライアントからの要望に対して柔軟に対応するところでしょうか。できるだけクライアントの要望に応えるというのは、実際には大変ですし、苦労するケースは多いかもしれません。それでも、クライアントになるべく寄り添うというのがAGS FASの理念ですし、それを理念だけで終わらせず、優秀なメンバーたちが十分誇れる品質のサービスを提供しているという自負はあります。また、働く側として、AGS FASの良い点は、仕事をある程度自由に任せてもらえるところですね。各自の責任のもとで裁量を持って進めつつ、何かあったときには上長がサポートしてくれる安心感があります。とはいえ、悩みに対しては真摯に相談に乗ってもらえますし、ニュアンス的には近すぎず、適度な距離感で働いているイメージです。これからAGS FASにいらっしゃる方とも、長く一緒に、助け合いながら働いていきたいですね。